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Bruckner/交響曲第3番 [交響曲(独墺系)]

ブルックナー交響曲をある程度聴くようになると、どうしても「改訂(癖)」の話題は避けて通れません。その中でも第3番は、最も多くの大改訂を経ています。ノーヴァク版に従っていくと、まずスケッチの段階でワーグナーに献呈し、ワーグナーからの引用を多く含む第1稿(1874年)。しばらくインバルの独壇場だったこの版も、いくつかの録音が発売されています。

次のウィーン・フィルによる初演が大失敗だった第2稿(1877年)は、ワーグナーの引用がかなり減らされ、スケルツォにコーダがつけられています。ただしこれは異論のあるところで、同時期の楽譜から校訂したはずである「エーザー版」(旧全集版(ハース版)、この曲だけ主編集はフリッツ・エーザーでした)にはコーダがありません。また初演時のパート譜からは、前年(1876年)に作曲されたと考えられる、いわゆる「アダージョ第2番」が発見されています。

そして晩年、シャルク兄弟の意を汲んで、特に終楽章がバッサリきられてしまった第3稿(1889年)がこの曲の(オリジナルの)最終形ですね。さらに第3稿に基づく出版譜(改訂版)は、曲の大筋は第3稿と同じですが、一部第2稿のオーケストレーションが混入するなどの混乱があったり、ダイナミクスやフレージングが随所で変更され、いささか面白みの少ないものになっています。例えばクナッパーツブッシュの録音に「改訂版」と銘打たれているものがあります。実はこの版、かつてオイレンブルクから刊行されていましたが、買いそびれているうちに、ノーヴァク版(新全集版)のリプリントに変わってしまいました。残念orz

さて、今回はこの録音を聴きました。Amazonになかったので、Towerrecordsへのリンクです。

Bruckner : Symphonies nos 3 & 8 / Haitink, Vienna PO

この第3の録音、「エーザー編1877年版」と記されているのですが、

聴いてみると、スケルツォにしっかりコーダがついています。これが「ノーヴァク版第2稿」と同じなのか違うのか、楽譜が無いので何とも言えませんが、聞いた感じでは同じように聴こえます。このCD、第8の評判が高くて「第3はオマケ」のように言及する方もいらっしゃいますが、第3も奇をてらわないでオーケストラの響きを大事にした、かつ流れが滞らないよい録音だと思います。

第1楽章は、調性や冒頭の曲想をはじめとしてベートーヴェンの「第九」の影響を色濃く受けていて、長大ですが古典的な感じがします。第2楽章は変ホ長調の緩徐楽章。美しさはブルックナーの交響曲の中でも一、二を争うと私は思います。第3楽章のスケルツォは、一転して荒削りなリズムとフレーズによる強烈な楽想。そして音楽は、急速な弦と息の長い金管のコラールが錯綜する第4楽章へとなだれ込んで行き、一気に輝かしいコーダまで疾走します。

「第3」は、音楽の規模でも(第1稿は「第8」より小節数が多いのです)、フレーズの豊かさでも、第7、第8といった後期の作品に匹敵する大曲で、だからこそブルックナーも最晩年まで改訂を行ったのでしょう。しかし第1、2稿には、洗練されていないがゆえに印象的な曲想が多く含まれています。第3稿で聴き始め、「いいな」と思えるようになったら遡っていくと、「第3」の魅力を満喫できるのではないでしょうか。

こちらはインバルの第1稿初録音についてのエントリーです。

http://classicalandsoon.blog.so-net.ne.jp/2007-06-18

「第3」はまだ2回目でした。大好きな曲ですので、他の録音もぼちぼち聴いていきたいと思います。

楽譜は、第3稿のみ国内で発売されています。

 

これを見ながらこのCDを聴くと、途中で「え?今どこ?」とあせりまくることがしばしばありますが(;^_^A


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コメント 15

サンフランシスコ人

「引用を多く含む第1稿」

ケント・ナガノのCDは、第1稿でしょうか。

by サンフランシスコ人 (2008-09-22 05:02) 

stbh

そうです。最近では、シモーネ・ヤング指揮ハンブルク・フィルの録音もありますね。
by stbh (2008-09-23 22:44) 

サンフランシスコ人

今秋、ケント・ナガノの「交響曲第4番」が発売される思います。
by サンフランシスコ人 (2008-09-24 05:58) 

stbh

情報ありがとうございます。楽しみですね!
by stbh (2008-09-24 22:38) 

サンフランシスコ人

現在、ケント・ナガノがアメリカ人の指揮者では、一番CDを録音しているのではないでしょうか。
by サンフランシスコ人 (2008-09-25 06:01) 

stbh

レパートリーがどんどん広くなっていくようですね。
by stbh (2008-09-28 19:56) 

サンフランシスコ人

今日ケント・ナガノの記事が、サンフランシスコの日本町の新聞に掲載されました。

http://www.hokubei.com/ja/news/2008/10/30
by サンフランシスコ人 (2008-10-22 07:15) 

stbh

30年も振ってきたオーケストラがあったのですね~。貴重な情報をありがとうございます。
by stbh (2008-10-24 07:06) 

サンフランシスコ人

1995年の阪神大震災のすぐ後、義援金のための臨時コンサートがあったのです。


by サンフランシスコ人 (2008-10-31 06:30) 

stbh

義援コンサートなどの活動もしているのですね~。
by stbh (2008-11-02 10:06) 

サンフランシスコ人

ケント・ナガノの娘のカリン・ナガノ

http://www.foresthill-sf.com/musicaldays-2007/FHMD-karin.html


by サンフランシスコ人 (2008-11-03 05:44) 

stbh

今年でもまだ9歳ですか。すでにすごい経歴ですね。
by stbh (2008-11-05 00:09) 

サンフランシスコ人

昨年のサンフランシスコでの演奏会

http://www.foresthill-sf.com/musicaldays-2007/images/pix/concert-505.jpg

by サンフランシスコ人 (2008-11-05 06:06) 

stbh

サロン・コンサートですか。すてきですね!(^_^)
by stbh (2008-11-08 11:17) 

サンフランシスコ人

ケント・ナガノの娘のカリン・ナガノ

http://www.foresthill-sf.com/musicaldays-2015/MD15-karin.html
by サンフランシスコ人 (2015-09-15 02:57) 

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